古代蓮が咲くという池の近く
小川の岸から翡翠色のかわせみが
飛び立った
うすい黄色に枯れたよし原にその
姿を消した
川の傍らにひろがる田んぼで
まだ若い芹をつんでいる
ふきのとうも畦に点在している
おひたしにした芹は噛みしめると
かすかに土のにおいがした
うてなの様な葉に乗った小ぶりの手まりを
おもわせるふきのとうを刻んで
少量のみそをからめて口にふくむ
これは何かの結晶の味だ、香りだ
高原の冷えた空気か
地と空の香りとかすかな苦味を
杜氏の賄い酒をさかづきから
流しこむ時、春の精が身体中に染みこんでゆく
ふわりとからだが浮いて宙に舞い
まるで仙人になったようだ
この軽妙な美味は何だろう
何と云うおいしさなのだろう
平成25年3月14日
沼南にて 町田 辰夫
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