コラム:きのこの森で

 きのこの森で  (エミールガレ美術館からひとり帰る道で)

 那須のホテルの遊歩道

 ふと 足元を見ると

 芝の上にはテングだけ

 丸く幼いキノコの玉と

 すっかり開いたおとなのきのこ

 しゃがんで香りをかぐと

 なぜか身体が縮んで小さくなった

 いつのまにかわたしはこびと

 降り始めた雨は大粒で襲ってくる

 たまらずテングだけの傘の下へ

 そうだ、白い帽子をかぶった彼女は

 4人の友とホテルの部屋にいるはずだ

 何とかその群れから彼女を引き離し

 ここへ拉致できないのだろうか

 そうしたら、きのこの香りを吸ってもらい

 わたしと同じこびとになるだろう

 そうすればひと眼にもつかず 

 この森をすみかとすることが出来るだろう    

 近くにはたまごだけの赤いすがたが

 かわゆいたたずまいをみせている

 白い襟巻をして

 あれは食べることができるのだ

 そうだ!

 ふたりできのこをたべて森で生きて行こう

 

 平成27年7月10日 薄晴れ

 町田 辰夫

大宮 今羽町団地 OK会

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