わが猫、ミ―コは人間の歳で27・8歳になっていると思われる。将におんな盛りである。しかし、去勢されている。家の外に出していないから、雄猫に追われることも無い。また、思春期の兆候も見当たらない。折しもTVでは、野生の雄兎が雌を2日間も追いかけていると言う映像を映していた。雄を誘うように逃げているようだ。
猫も動物の一種であることは事実である。彼らの本姓は、先ず餌を求めることであろう。野生の動物は眼を覚ましている時は、常に餌を求めて彷徨している。次は、危険を察知することだ。天敵や自分を襲う敵を常に早く見つけ、安全な場所に逃走すること。餌を求める行動と危険は共存している。これは、彼らにとっての日常である筈だ。そして、周期的に生殖衝動に襲われる。これは有無言わさずに衝動として彼らを走らせる。発情に抵抗はできない。
ミ―コを見ていると、人の8倍以上の速さで命を費やしているのをどう感じているのかと、つい顔を見てしまう。
以前、犬を飼っている友人に聞いた話だが、犬の雌には人間の様に月経があると言う。その時になると犬は自分で舐めて処理をする。大きい犬だと量も多いので、可哀そうだと言っていた。それは、私が動物本来の衝動を、人間が勝手に排除するのは、間違っているのではないか、と言う意見に対する返事であった。
ミ―コはどう見ても雄猫には見えない。小顔で幼い時と余り変わらない顔をしている。胴は成猫であるが、顔は幼く、可愛い。(これは飼い主のひいき目かもしれない)下腹部は白い毛が薄く、肌のピンク色が見える。乳首らしき点が二つある。この中で、雌猫としての性は、完全に死んでいるのだろうか。
飼う前は、去勢などは人間の勝手で、動物の本性を冒涜している、などと考えていたわけだが、実際に飼ってみると、大人しくしているミ―コはまことに有難い存在である。やたらに大きな声で鳴きもせず、暴れるとしても家の中を時折駆けだすぐらいで、それも大した回数では無い。
撫でたい時に撫でてやると、初めは見開いていた目を、段々に細め、やがてすっかり目を閉じる。気持ちよさそうにしている。しかし、耳だけは敏感に反応している。音や私以外の動きや、私自身の動作の変化に対しておおいに警戒している。
宅配便がドアフォンを鳴らすと、いかなる時でも、逃げ出し、私の机の奥の「いじけコーナー」に潜んでしまう。来客があっても同じである。そして、しばらくは出て来ない。いくら、家内や私が「大丈夫、大丈夫。」と言っても全く効果は無い。(つづく)
下の写真は現在のミ―コである。どう見ても雄猫には見えない?
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