佐倉市ゆうかりが丘、この町の風景に少なからず衝撃を受けた。 私が知っている千葉は、33歳ぐらいの時、(今から50年前)千葉市に営業所があり、そこの所長をや っていた頃のことである。JR千葉駅から歩いて10分程の所に公園があり、住友生命ビルがあり、そ の2階に事務所があった。
駅前から真っ直ぐに伸びる道路の真ん中には、夾竹桃が植えられ、夏ごろには紅い花を咲かせていたの を覚えている。埃っぽく、あまり風情のある景色では無かった。
また、勝浦に仕事で出かけ、勝浦グランドホテル(多分そうだったろう)に泊まった夕食に、宝石のよ うなあわびの胆を食べ、その美味に驚いたのを、今でも忘れない。
概して、千葉の印象は、やや粗雑で、大雑把、洗練されていない印象が深い。
それに引き換え、ゆうかりが丘はまったく新しい規模の大きい都会で、地方都市と言う印象は受けない。 建物は新しく、規模が大きく、駅のすぐ近くにあるホテルは直ぐにでも入って行きたくなるような、開 放的で明さに満ちていた。空港に勤める人たちのニーズが作った町ではないかと思う。
その印象とは別に、我が大宮市は、古い町が古い時に町になり、建物が密集し、今となっては、大きな 建物をおおらかに立てるにはせせこましい町になってしまった。幾つかの建物は出来ても、町自体をデ ザインすることはできない。すでにある程度出来あがってしまった町なのだ。
しかし、大宮の町にも、それなりの良い点があり、怪しげ店もある北銀座、南銀座はその 猥雑な魅力を持っている。これは古い地方都市の何処かに必ずある、歓楽街の一つである。 町が持つ個性を強く感じるこの頃である。
先日、湯河原から葉山へ向かった。湯河原も道路の直ぐ近くは山があり、山と言うより崖に見えた。そ の斜面に旅館や別荘らしきものが立てられている。葉山も海に沿った道路の反対側は山である。山口蓬 春記念館へも坂を上って行く。建物自体も斜面に建っている。
家に帰りながら自分の町を眺めると、何と平らなのか、と言う感慨であった。どこまでも平らな土地の 広がりである。
佐倉市ゆうかりが丘。友人がその駅の近くの高層マンションに居を構えたが、たぶんそこは彼の終の棲 家として選んだのだと思う。便利で環境も良く、少し車を走らせれば、川村記念美術館(その庭園と中 に点在する建物が実にモダンに調和している)庭を観るだけでも充分に堪能できる。よく分からないが、 他にも花 なども沢山あるようだ。
彼の選択は良かったと思う。
抽象画あといやされる桜かな
桜観る合わせて三百二十歳
平成30年4月7日 町田 辰夫
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